空より青いケツ

平凡な人間のつづるブログです

四つ星が欠けた日

私は今日という日をたぶん、ずっと忘れません。

チャマの不倫問題発覚が9月18日。
公式サイトで他メンバーの謝罪文が出たのが9月25日。

そして、藤君が、いつも穏やかで暖かくて、優しい声で話すあの藤君が、今にも消えてしまいそうなか弱い声で、まるで自分の事のようにチャマのやった事をラジオでリスナーに謝罪したのが、今日。

こんな日が来るとは、夢にも思っていなかったです。
いつも楽しく聞いていたはずのポンツカを、泣きながら声が漏れるのを抑えられないまま聞いた、今までの人生で一番、長く長く感じた12分という時間。

ここに来るまであっという間でした。
私がバンプを聴いて過ごしてきた19年という時間が、そして彼ら四人から貰ったたくさんの思い出が、身体のどこか奥底で、静かに静かに冷たくなっていくのを感じました。
BUMP OF CHICKENを好きでいるということは、情けない自分自身にとって唯一の誇りで最強の自信でした。
BUMP OF CHICKENを聴いているということが、恥ずかしい所ばかりの自分自身の中で、唯一胸を張って自慢できる一つの宝物でした。
その宝物が、汚れて、傷ついて、真っ暗な地面を、ごろりと転がっている。
そんな気分でした。
最悪な気持ちでした。
藤君のあんな声、生きてる間に絶対に聞きたくなかったし、それを私たちの前で聞かせなくてはいけない状況になんか、私はしたくなかったです。
こんなに、BUMP OF CHICKENが大切なのに。
藤君と、ヒロと、秀ちゃんの側に今すぐ飛んでいきたい。
こんなにこんなに絶対に失いたくない大切なものが、自分にあるということが奇跡なのに。
それなのに、本当に大切なもののために、なんにもできない。
無力だ。なんの意味もないじゃないか。なにがリスナーだ。
本当にただ勝手に聴いて、勝手に救われたような気になってるだけの弱い人間じゃないか。
こんなに、辛い時も悲しい時も楽しい時も、ずっとBUMP OF CHICKENの歌に側にいてもらったのに。
わたしは、BUMP OF CHICKENが一番大変な時に、側にいられないのか。
私がBUMP OF CHICKENを好きでいることに、なんの意味もない。
そう思いました。
私に、できることなんてあるのかよと。

チャマの事を、最初は待っていたいと思いました。
チャマのいいところもたくさん思い出して、すごく辛くなったからです。
間違った事をしてしまったけど、大好きな人がした事だから、大好きだからこそ私たちもちゃんと怒るんだよ、と。
でもチャマの出した謝罪文は、少し、私が思っていたものと違いました。
チャマは「音楽活動に精一杯向き合うことで、信頼を回復していきたい」と言いました。
音楽は音楽です。
今回の問題は、音楽とは全く関係ないところで起こった問題です。
音楽を、ましてやBUMP OF CHICKENの音楽を、自分の誠実さを周りに知らせるための手段にはしないでほしいと思いました。
チャマのやったことは、チャマの普段の行動の中で改めて、周りに知らせていくしかないのではないでしょうか。
音楽を、仕事を真面目にやるのは当たり前です。
楽家としてのチャマは、素敵でした。素晴らしかったです。
見えないところでそんな最低な事をしている人間だとは、1ミリも感じさせないくらいには。

今回の活動休止は、要約してまとめるとつまりチャマが「自身の行動を省み、反省し、更生するため」だと。
それは、わかりました。

でも、私たちは?
私たちは、どうやってチャマの反省と行動の改めを知ればいいのでしょうか。
音楽で?どうやって?活動休止しているのに?
時間が経って、ほとぼりが冷めた頃に、僕はこんなに変わりましたって、出てくるの?
それ、私たちはどこで、チャマの何と比べればいいの?
無理だよ。私はできない。
できるのかもしれないけど、少なくとも今はそんな気持ちに自分がなるだなんて、思えない。
こんなに悲しくて、苦しくて、辛いのに。
チャマがどう思っているのか分からないけど、でもあえて言わせてほしい。

あなたが思ってる以上に、「一番大切な物にキズつけられた」という記憶は消えないです。

私は最初、チャマに戻ってきてほしいと思っていました。
信じて待っていたいと。
大好きだからこんなに怒るし、悲しい。
たくさん怒って、たくさん嫌って、でもまたたくさん好きになろう、と。

でも藤君が、ヒロが、秀ちゃんが、憔悴しきった声を出すラジオを聞いて、戻ってこなくてもいい、と思ってしまった自分が怖かったです。
彼が、自分のしたことが一体どんな意味を持つのか、本当に腹の底から理解していないのなら、戻ってくる必要はないんじゃないかと。
チャマがバンドに戻ってくるイメージが、私には全然見えなくなってしまいました。
そんな未来くるのかな。どうなんだろう。
でも、仮に戻ってきたとしても、私の気持ちもみんなの気持ちも、元のようには戻らない、ということだけは、はっきりとわかります。


ツイッターのTLで、いくつかバンプに対する言葉で「ありがとう」というものを多く見つけました。
「続けることを選んでくれてありがとう」と。
私は、それは少し違うと思いました。
ありがとうと思って安心してくれた人たちに、水を差すようなことを言っているのは十分承知です。
でもポンツカを二回目に聞いた時に、やっぱり確信しました。
これは「ありがとう」ではないんだと。
藤君は、バンドを続けることを「自分たちの責任の取り方」だと言いました。
責任を取ります、といって自分の目の前に出てきた人間に対して「ありがとう」というのは、相手の震えるように絞り出したような覚悟についてかける言葉ではないと思ったのです。

私は、「ありがとう」という気持ちに、最初も今も、なれませんでした。

バンドを解散しないでいてくれてありがとう、という意味でリスナーの一部の方たちが言葉にしたというのは、十分承知です。
でも私はとても感謝する気になれなかった。
ありがとうだなんて、なんて勝手なことを言うのだろう、と。
解散するか、三人で活動するか。
からして見たらどっちも地獄みたいな選択でした。
どっちを選んでも、今の三人には辛い道なのです。
それをありがとうなどと言うのは、自分の都合のいい部分を満たしてくれた事への感謝のつもりか、と。
冗談じゃない。そんなつもりで続けることを選んだわけではないだろう、と。

「バンドを解散するということは問題の本質から逃げている」とも藤君は言いました。
彼らが、自分のした事ではないにしろ、BUMP OF CHICKENというバンドとして
「責任を取る」と。
だからバンドを続ける、と言った時に、「なら、ついて行くよ」と思いました。
ラジオを二回目に聞いたときに、腹が決まりました。
なのでこれは私にとっては「ありがとう」ではないです。
もう一度ここから始めることの、お互いの約束であり確認です。
藤君は、私たちに「応援してくれ」とか「ついてきてほしい」とか「許してほしい」とか、当たり前だけどそんな事一言も言わなかったです。
これはもっと、違う視点で見るとバンプとの約束ではなく、それでもバンプを聴いていくんだね、という自分との約束なんだと思います。

ありがとうってなんだ、まだ、彼らから何か与えて貰うつもりなのか、と。
藤君のあの声を聞いたら、あんな状態のBUMP OF CHICKENから何かを貰おうだなどとは思えないです。
私は嫌です。
今度は、返していきたいです。
今までずっと、何度も、たくさん貰ってきたのに。
BUMP OF CHICKENの一番大変な時に、支えていけるリスナーでありたいと、そう思いました。
バンプバンプで居続けるという、決して楽ではない道を選んだ覚悟に対して、私は呑気に「ありがとう」だなどと他人事みたいな事は言いたくないです。
私という人間がBUMP OF CHICKENのリスナーでいるということは、私にとってはそういうことです。
彼らと、全く同じは勿論無理でも、出来るだけ寄り添っていたいと、そう思いました。

藤君が「バンドを続ける」と言った事に対して、私だって「聴くのをやめます」と言うことはできた。できたんです。
でも、「バンプの歌を聴いてきた」という事以外に、あまりにもたくさんの物をバンプとの間に置きすぎてしまった。
これは私にとっての責任でもあるので、重苦しいリスナーだと思われるとは思うのですが、それだけ私はBUMP OF CHICKENというバンドに対してマジの感情しか持っていないのです。
好きとか嫌いとか、もはやそういう次元じゃなくなってしまったんです。
私の人生のどの瞬間にも、バンプの歌が側にいてくれました。
私にとっては、大きなことなんです。


BUMP OF CHICKENの事が大好きです。
チャマの事が大好きでした。
愛らしくて、いじらしくて、たまに恥ずかしいぐらいお調子者で。
だけど、優しい子だと思いました。
嫌いになれないです。嫌いになれたら、楽なのに。
私はチャマの事がこんな事になっても、まだちゃんと嫌いになれなくて、好きで、しんどいです。
でも許せないです。大好きだからこそ、許せなかったです。
同じくらい大好きな藤君と、ヒロと、秀ちゃんのことをキズつけたチャマが、許せないです。
でもいつか、自分の中でその事に対して落ちどころを見つけられる自分になりたいです。


私は、完璧な人間ではないです。
私だってたくさん、間違えてきました。
チャマのことばかりは、確かに言えないです。
チャマのしてきたことと同じくらいだらしないことを、してきた自覚はあります。
頭の悪い私がそうして自分のために選んだことは、「もう二度とそんなことをしない」というありきたりな答えです。
同じ間違いは二度としたくないです。これ以上自分のことを嫌いになりたくないです。

チャマも、いまどこかで、心の底からそう思ってくれてる事を願います。